2014年4月15日火曜日
李登輝元総統は台湾民主化についてかく語った!(2004年のことです)
台湾の学生が24日間にわたって台湾国会(立法院)を占拠しました。サービス貿易協定の名を借りて台湾の主権が危機にさらされようとした土壇場で学生たちは台湾を守るために立ち上がったのだと思います。多くの台湾国民が学生を支持したことは学生の行動が間違ってなかったことを示しています。なかでも、李登輝元総統が「学生たちだって国家のことを考えている。学生が警察官に殴られているのをみると涙が出てくる」と占拠学生を終始、擁護していたのが印象的でした。李登輝氏は、台湾で総統直接選挙などの民主化を実現した人物です。李登輝氏がなぜ学生を支持したのか。台湾の民主化はどう実現されたのか。台湾の抱える問題点は何か。参考までに李登輝氏が、2004年に台北で日本語で行い、私がミニコミ紙に寄稿した講演録を再録します。
「日本の衰退はアジアの危機
日本人はもっと自国に誇りを!」
2004年10月30日-11月3日に台湾の李登輝前総統のシンクタンクが主宰する「第一回李登輝学校に参加した際に李登輝さんが語った内容をひとりでも多くの日本人にみてもらうためここに掲載します。李登輝さん(八二)は先ごろ訪日し、日本と台湾が歴史を共有していることを強く印象づけましたが、李登輝学校でも「将来の世界のリーダーになるのは武士道という道義の体系を持った日本しかない」と繰り返し表明しました。もちろん李登輝さんの最終的な目標は名実ともに台湾の独立が国際社会から認知されることにありますが、そのためにも日本人が、日本人であることにもっと誇りを持つように訴えているのです。
(ジャーナリスト 山際澄夫)
☆ 台湾は中国ではない
―李登輝さんが最初に強調したのは、自分たちは中国人ではなく、台湾人であるという事実でした。
○・・台湾は中国の一部で、台湾にいる人間を中国人とみている日本人が多いがそうじゃない。私たちは戦前から台湾に住んでいる台湾人だ。(注、人口二千三百万人のおよそ8割強は台湾人。一割強が戦後、蒋介石とともに大陸からやってきた外省人といわれる)ところが、困ったことに教育のせいで台湾人のなかにも自分たちは中国人と思っている人がいることです。
これが台湾のアイデンティティの問題です。例えば日本なら反日的といわれる左翼がいますが、その左翼もどこの国の人かと聞かれれば「日本人」と答えるだろうが、台湾人にお前は誰だと聞いて、「台湾人だ」と答える人がかつては少なかったのです。「中国人である」といったり、「中国人でもあり、台湾人でもある」といったりする。そこに台湾の歴史の特殊性があるのです。私はこれじゃあいけない、台湾人の台湾にならないといけないと思い続けてきたのです。
二〇〇四・三・二〇の総統選挙で陳水扁総統が再選を果たしたとき、私は「台湾のアイデンティティは五七%」といいましたが、これを七五%程度まで引き揚げたい。モーゼは四十年かかってイスラエルの民にアイデンティティを植えつけた。アメリカだってかつては、イギリス人だとか、フランス人だとか答えていたが、十九世紀、二十世紀になって、みんなアメリカ人だと答えるようになった。だから希望はある。
☆ 民主化は道半ば
―台湾の歴史は「外来政権」による台湾人支配の歴史。それを台湾人の手に取り戻すのが民主化であると指摘しました。
○・・私が総統になってすすめてきたのは本土化(台湾化)といわれるものです。一九九三年に司馬遼太郎さんに初めてあって、「台湾に生まれた悲哀」と言いましたが、実際、台湾の四百年の歴史は、すべて「外来政権」の歴史で、台湾人は一度も自分の政治をもてなかった。オランダ、スペイン、鄭氏政権、清、そして日本。それから私が総統だった中華民国、これも蒋介石ととともに大陸からやってきた外来政権なのです。一九四七年には、中国人政権による民族浄化ともいうべき「2・28」事件(注、台湾人民衆の反政府の抗議行動に警察が機銃掃射し多数を虐殺した事件)が起こっている。
その後も蒋介石政権の三十八年間の戒厳令下に政権側の白色テロ(注、2・28事件とあわせて犠牲者は三万人に達するといわれる)が続いた。しかも、今も中華民国体制は維持されている。
だから私は民主化を通じて台湾人による政治を実現しようとしたのです。中国は一九九六年、二〇〇〇年、二〇〇四年に行われた総統選挙に軍事演習などで干渉したが、台湾人はこれに屈しなかった。だが国会(立法院)はまだ、国民党が治めている。民主化は道半ばだ。私が今やっていることは①二〇〇七年までに台湾の憲法をつくる(制憲運動)、②国号を「中華民国」から「台湾」に変える(正名運動)―これによって「台湾人」だと答える人を七五%まで高めることを目標にしています。
☆ 台湾人のための憲法づくり
―中華民国憲法は台湾人のためのものじゃない。新しい憲法制定こそ台湾正常化への道といっています。
○・・日本の憲法と台湾の憲法は根本的に違います。日本の憲法は占領下の憲法だが、それでも憲法を日本のためにつくった。国会も通した。しかし、中華民国の憲法はそもそも台湾人のためにつくられたものではない。中華民国憲法が一九四六年に大陸で制定された当事、台湾は法的には中国の領土でもなかった。中華民国は一九一二年に辛亥革命で誕生し、大清帝国を継承しましたが、そのとき、台湾は日本の領土でした。一九四五年にマッカーサーの命令に従い中華民国は台湾を軍事占領しましたが、国際法上の領土移転ではありませんでした。その後、中華民国は内戦に敗れ、一九四九年に蒋介石政権は台湾に逃れて、中華民国の看板を維持してそのまま中華民国憲法を使った。戒厳令でその憲法ですら停止され、総統も選挙はなく、国会議員も万年議員だった。私は一九九一年に万年議員にやめてもらって、一九九五年に総統は人民選挙とすることにした。 憲法は都合6回修正した。しかし、それでも不都合なので台湾人の憲法につくりかえるのが憲法制定の国民運動です。
台湾の政治は変わっても司法や教育の中身は変わっていない。人の心も変わっていない。これをただす。よく「現状維持」といいますが、それは現実から逃避するための無責任な意見です。
☆ 「中華民国は消滅した」
―台湾の国号は中華民国。つまり「中国」です。だが、それは虚構であって、最早、「中華民国は消滅した」と主張しました。
○・・中華民国は虚構の上に成り立って
います。大陸を追われたときに事実上、消滅していたのです。ところが台湾にあるのに憲法はモンゴルからチベットまでを領土と主張している。従って教育も台湾ではなくて大陸の歴史を教えてきた。
そして台湾にとっては、台湾が中華民国、つまり「中国」を名乗る限り、国際社会にも復帰できないし、中華人民共和国に「中国の一部」だという侵略の口実を与えることになる。日本だって、台湾が中国に併呑される危機にあっても中国の内政だといわれて手も足もでない。これではだめだというのが私の考えです。私は中華民国が虚構であることは最初から分かっていた。わかったうえで中華民国の総統として我慢して、台湾人の民主政治をやることを意図してやってきた。だからこれからは新たな憲法制定をめざす。新たな国を樹立する。そのためにもアイデンティティを75%までもっていくことが大切なのです。
中華民国の総統が自分をたたくわけにはいかないだろう。だから陳水扁総統は黙っていてもいい。この運動は政府がやるのではない。人民である我々がやる。私が憲法制定連盟で代表になったのはこれが最後の仕事だと思っているからです。私にはあと十年の時間があります。
☆ 「タイワニーズ YES!」
―台湾の正名運動には二百五十万人が結集して人間の鎖をつくりました。
○・・中国の併合という野望をあきらめさせるためにも中華民国の神話は終わりにしなくてはならない。そう思って始めた正名運動に最初十五万人が集まった。そしてしばらくして、二十五万人が集まった。さらに二〇〇四年の総統選前の2・28記念日には二百五十万人が集まって南北に「人間の鎖」をつくった。
人間の鎖は、人間の鎖の本家のバルト3国(注、旧ソ連から弾圧を受けながらも独立。台湾独立運動家らとの交流が深い)よりもっと素晴らしい盛り上がりだった。私たちは台湾の若者を教育し、教えることで人々に覚醒してもらう。どんどん教え込んでわかってもらう。恐怖ではなくて、教え込む。これ以上、中華民国の軍事占領を続けているわけにはいかない。中華民国は国際法上、台湾を占領しているだけだ。位牌をもって逃げてきただけだ。
(注、「人間の鎖」は、人々が一列に並んで手をつなぐもので、北部の基隆から台北、台中、高雄を経て最南端の屏東までつながった。陳水篇と李登輝の現前総統は中西部で合流し、それぞれ「手をつないで台湾を守り、民主の長城を作ろう」、「人民の力こそ台湾の希望だ」と演説した。参加者は、「チャイニーズ NO!」「タイワニーズ YES!」と叫んだ)
☆ 中国の主張は「強盗の論理」
―「中国を刺激するな」というのは強盗のいうことを聞けといっているに等しいと批判しました。
○・・アジアに危機をもたらしているのは中国です。国際社会でも台湾を支持するな、台湾が主権独立国家であることを認めるなと各国に圧力をかけていますが、これは「中国の武力行使に反対するな」といっているのと同じです。台湾に対しても独立したら戦争だという。さらに二〇〇〇年の「台湾白書」では「統一を拒んだら即戦争だ」というまでにエスカレートさせました。つまり「降伏しなければ攻撃するぞ」ということです。中国の主張は善良な人々から財産を強奪することを正当化する、いわば強盗の主張です。
中国の横暴な態度は国際社会でも反発を受けてはいますが、しかし肝心の台湾人民が「ひとつの中国」を掲げる中華民国体制を放棄せず、台中問題を内政問題と認めているのですから、各国もどう対処していいかわからなくなる。日本などもそうですが、武力で脅迫する中国には自制を求めず、逆に脅迫されている台湾に「中国を刺激するな」と要求するおかしな事態になっている。これではまるで小市民に「強盗のいうことを聞け」といっているようなものです。第二次世界大戦前夜にチェンバレンがヒットラーに妥協したことが、反って戦争を引き起こしたことを思い出さずにはいられません。だが、その一方でこのような倒錯的な状況をもたらしているもう一方の原因が「中華民国」であるのです。
☆ 急務の日台安全保障対話
―中国は「版図」と「領土」を取り違えている領土的野心旺盛な国。やがて沖縄も中国の一部と言い出しかねないと注意を喚起しました。
○・・中国は、大清帝国の領土はすべて中国の領土だという。イタリアがローマ帝国の版図を自分の領土だというようなものです。そんなこといっても誰も国際社会は相手にしないでしょう。だが、中国の主張はそうだ。私たちは中国の歴史観を知る必要があります。中国は今、尖閣諸島は自分のものだと言っている。次は琉球(沖縄)、そして朝鮮半島、やがて日本も中国の一部だといいはじめても不思議ではない。中国は太平洋に出て行く道をみつけようとしている。日中の武力衝突もあるかも知れないし、日本を押さえて米国と対立することになるかも知れない。
中国が万が一台湾を取得すればどのような事態になるでしょうか。台湾海峡は一日四百艘もの日本の貨物船が往来しています。その日本の海上輸送路を完全に扼することになります。逆に言えば台湾は、中国の軍事膨張を阻止する最大の拠点でもある。だからこそ中国はどうしても台湾を落としたいのですが、このように台湾が中国と切り離されている状態にあることは、地域の安定にも役立っている。この状態を今後も維持するためには、やはり台湾が正常国家になるしかない。そのときに本当の意味での「現状維持」も可能になるでしょう。台日両国はアジアでもっとも民主的な国どうしです。また、ともに海洋国家として一緒になって東アジアの平和と安定を守る必要があります。そのために今必要なことは台湾と日本の安全保障対話です。
☆ 中国に民主化は不可能
―チベット、新疆ウイグルなどを抑圧する中国に、民主主義など不可能、もし民主主義というなら分裂は不可避だと語りました。
○・・胡錦涛(主席)さんは一見、善良そうに見える。だが、中国の民主化は不可能だ。
民主化をやる気なら中国は七つぐらいに分割しないと無理だろう。分けて、競争すればいいが独裁者の頭をどう変えるかが問題だ。だいたい中国では人民はなにも知らない。天安門事件のとき私たちがどうしたか知っていますか?地方では北京でなにが起こっているか知らなかった。だから、台湾は、地方にファックスで、北京でこんなひどいことが起こっていると知らせた。中国大陸では毎日事件が起こっている。中国では人民の四%の人がエンジョイしている(豊かな生活を享受している)だけだ。人民になぜそうなっているかを知らせなければならない。
☆ 台湾の苦難を忘れた日本外交
―かつての祖国日本は、今は遠い国のような気がすると李登輝さんはいいます。
○・・台湾と日本との関係は、歴史的にみても、地理的にみても、あるいは安全保障や経済の面からみても、さらには両国民の感情の面からみても類例がないほど深いものがあります。しかし残念ながら両国の戦後の国家関係は非常に不正常です。確かに民間交流はとても盛んに行われていますが、政府間では関係というものがありません。正式な国家関係が打ち立てられないのはなぜかといえば最大の原因は「中国」です。この中国は何かといえば「中華人民共和国」と、「中華民国」です。
日本は一九七二年(昭和四十七)に中華人民共和国と国交を結びましたが、それ以前は中華民国を承認していました。しかし、中華民国は、大陸から台湾にやってきて台湾人を迫害したのですから、台湾人は忘れられた存在でした。日本人は蒋介石の「以徳報怨」にすっかりだまされたのです。しかし、蒋介石は賠償をとらなかったというが、在外の日本人の財産は全部奪われたわけだからそのことをはっきりさせなきゃあなりません。
日本が中華人民共和国と国交を樹立したことは何も異議はありません。日本としても仕方なかったかもしれない。だが、ひとつの中国という、中国の主張に「理解を示す」といったのは、余計なことじゃないか。もともと、マッカーサーの命を受けて、蒋介石は、台湾に軍をすすめたが、それは軍事占領に過ぎない。台湾は日本の統治があって、近代的でまともな国になった。それがいきなり、中国大陸に戻ったのはつらかった。日本は台湾人の苦難を忘れてしまった。忘れたのはいいが、ひとつの中国を理解するというのは受け入れられない。日本でも人権をいうひとが多いが人権というなら、台湾人の人権を考えて欲しい。
日本政府は、かつては蒋介石政権とつき合い、現在は中共政権とつきあっているが、どちらの独裁政権も全中国を代表すると強弁し、台湾人民の生命、財産を脅かしてきた連中です。これらを黙認してきたことは日本政府の道徳上の汚点とはいえないでしょうか。
☆ 台湾は日本の生命線
―北朝鮮との国交樹立に真剣で台湾のことは忘れているとの言葉に実感がこもりました。
○・・それに日本は拉致までする北朝鮮との国交樹立にばかり一生懸命になって、世界でもっとも友好国家である台湾のことは忘れています。歴史的にも地理的にも感情的にも関係は深い。もっとも親中的な橋本内閣ですら、周辺有事が問題になったときに、台湾海峡のことに触れざるをえなかった、それほど深い関係なのです。ほんとうに日本と台湾の間は百キロもないのです。一九九六年の総統選挙に干渉した中国のミサイルは与那国島と台湾の間に落下しました。
それなのに現実は遠い国のような気がする。 日本の国民は日本政府と明らかに態度は違います。大勢の日本人は歴史への感情や国益の観点から、台湾が日本の生命線であることを理解しています。しかし政策の上では台湾はまったく無視されています。
☆ 武士道は世界の財産
―李登輝さんは将来の世界のリーダーは日本しかないといいます。しかし、現在の日本は誇るべき伝統的な価値観を否定していると率直に批判しました。
○・・日本の外務省の役人は国益よりも個人の地位保全が重要なのだろう。奉天(今の瀋陽)の総領事館であれだけひどいことをされても黙り込んでいる(注、二〇〇二・六 脱北者の駆け込み事件)。やっかいなことには蓋なのであろう。日本には虚無感が漂っている。政治の衰退、官僚の衰退。だがこれは困ったことだ。日本の衰退はアジアの危機につながる。だから私は、「武士道解題」(小学館)を書いたのです。武士道こそ日本の最高の道徳規範であり、世界の財産でもあるからです。皆さん、武士道を忘れちゃあいけませんよ。
武士道は「公に奉じる精神」です。将来の世界は、こういう道徳のある国、道義の体系を持つ国、信用される国がリーダーになるべきだ。それは武士道を持った日本しかないのです。これに対して、一番嘘つきなのが中国だ。
ですから日本人は一刻も早く戦後の自虐的価値観から解放されなければならないと思うのです。そのためには日本人はもっと自信と信念を持つことです。かつて「武士道」を築き上げた民族の血を引いていることを誇るべきなのです。
☆ 東京裁判史観を信奉する日本人
―李登輝さんは自国の伝統を尊重できない人間に国益を守ろうという気概は出てこないと警告しました。
○・・日本が台湾を無視するのは、はっきりいえば日本の政策は、日本の国益ではなく中国の国益を追求しているからです。戦後の日本社会は、敗戦のショックと東京裁判史観の影響で、戦前の体制だけではなく、伝統的な価値観まで否定する風潮に包まれました。この思潮は教育やメディアを通じて国民の間に広まり、反日思想を醸成しました。このようなものが教育界、文化界、政界、官界に根づいてしまっていることこそ、日本にとっては最大の危機であるといっても過言ではありません。
これでは若い世代は自分の国を愛することなど出来ません。現在、日本で虚無感が漂っているのもそのためでしょう。政治家や官僚に国益を守ろうという気概がないのも同じことです。私はこうした現状を非常に心配しています。日本の衰退は自由主義国家、平和愛好国家、または、伝統的価値観の衰退につながるからです。
☆ 台湾にも「反台」思想 ―台湾の精神状況は、日本と似ていると李登輝さんはいいます。
○・・日本と同じような危機的な状況は台湾にもみられるのです。戦後の台湾は蒋介石政権の高圧的な軍事独裁下に置かれました。「2・28」事件では、多くのエリートが虐殺されましたが、それはまさしく中国人政権による文化、思想上の民族浄化政策だったのです。台湾人は全く理解できない北京語を押し付けられ、日本時代に日本語の近代教育によって育まれた知識や教養は一夜にして無用の長物になりました。それどころか、それまでの価値観、文化、知識は日本の奴隷化教育による敵国思想の産物だとして否定されたわけです。こうしたことが台湾の戦後社会に価値観の混乱や倒錯をもたらしたのです。実際、戒厳令のときには中華民国を批判するような話をすれば自宅に帰れなかった。
そのうえ中国式の中国人教育が行われ、反日・反台思想が植えつけられてきたわけですから、台湾のアイデンティティは失われてしまいます。戦後教育をまともに受けたいまの五十歳代が一番悪い。ですから私は総統を辞めてから台湾の歴史の本を八冊もつくったほどです。大切なのは教育です。もっとも最近になって、台湾も日本と同じように自国の歴史、文化を見直そうという傾向が出てきたことはとても喜ばしいことです。
☆ 最後に問われるのは人間の魂
―リーダーとして心がける大事なこととして李登輝さんはこんな発言をしました。
○・・リーダーとして一番心がけてきたことは、ますは信仰です。主観、客観を超えて神様がいるということです。それに公義の精神。伝統的な文化、考え方というものもいつも持っていなければならない。そして最後は人間の魂じゃないか。
(※日本語で行われた講義、あいさつ、質疑をひとつにまとめたものです。李登輝学校の問い合わせは「日本李登輝友の会」へ 電話03-5211-8838 http://www.ritouki.jp/)
=上の文章は漁火新聞2005・2月号に掲載したものです。
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